政治献金を死守する自民党

 石破総理の「政治献金を悪とは考えていない」との答弁。党の方針ではなく石破個人の考えもそうなのだ。自民党内での改革派かと思わせる言動があったが、総理の座を脅かす者はいない、地位は安泰となったら、地金が出てしまった。というより、仮面を脱ぎ捨ててくれたことで本音が聞けるようになった。贈収賄事件の頻発でこれを断つ名目で国民に政治資金を出させて(税金 政党交付金)、しかし、前と変わらず企業からの献金もそのままいただく。転んでもただでは起きない。さすがに自民党、見事な二重取りだ。

 理由は「政治には金がかかる」。相も変わらず平然とこう繰り返す。恥ずかしいとすら思わないのだろう。今朝のサンデーモーニングで寺島氏が指摘していたが、政治に金がかかるということ自体眉唾ものだが(選挙に金をかけているだけ)、「何故金のかからない政治、体制作りをしようとしないのか」。全く当たり前の話だが、これが自民党議員には通じなくなっている。

 屁理屈は「最高裁が法人にも意思があると認めている」。そうか? 自民党金科玉条のごとくに引っ張り出す昭和45年の最高裁判決は、企業の政治献金は法人の権利能力の範囲内にあり、献金(これをした取締役らの)行為を違法とは言えない、と言っただけの内容である。政治献金の禁止が憲法違反などという判決ではない。禁止に正当な理由があればこれを法律で禁止することはもとより可能であって、憲法違反を問われることなどあり得ない話である。

 野党が禁止を求める理由は、企業献金は企業と政治の不当な癒着の温床になること、政策が献金企業に有利にゆがめられる恐れがあること、自民党議員らの過去の実績に照らし誰も否定することのできない合理的な理由である。営利の追求が目的の企業がする政治献金は、その目的も当然、献金企業に有利な政策、政治的判断を求めることにある。

 かつて「企業がある政治家を育てたいと考えることもある」などという自民党の国会答弁を聞いたこともあったが、噴飯ものである、経営者の個人的趣味で特定の政治家に会社のお金を献金したら、それこそ会社に対する横領背任、違法行為だ。そこには企業の利益になる政治家を育てる目的がなければならない。

 以上、法律で企業献金を禁止することは立法の裁量の範囲内のことであって、何の問題もない。ましてや憲法違反の問題になることなど全くあり得ないことなのである。だから屁理屈と言う。

 また、自民党は野党の労働組合からの献金企業献金と同列に論じるが、全く違う。労働組合の場合は、組合員から徴収した組合費の中から組合として支持を決めた政党に献金するのであって、それは個人献金とほぼ同一視できるものであるのに対し、企業献金は、代表取締役社長、せいぜい取締役会で決めるられるものである。従業員数百人数千人数万人の会社員従業員らの意思とは全く関わりがない。意思決定の構造が全く違う。企業の意思と言っても、国民一人一人の政治的意思決定と同列に論じることは到底できない性質のものである。
 ただ、これに対してなおも異論があるなら、野党も労働組合の政治献金をすっぱり禁止すればよい(政治団体などの献金容認も止める)。自民党政治の歪みの根源、政治の腐敗の根元を断てるのだから、野党は、国民のために決断すべきだし、国民の側に立つ野党ならできないはずはない。野党がこれに拘るとは思えないが、もしそれができないなら早晩野党も国民の支持を失うことになるだろう。

 それにしても、何より重要なことは、国民の意思である。裏金問題に端を発した今回の金と政治の問題に、国民がどこまで金権自民党政治に厳しい目を向け続けられるかである。うかうかしていると、電力業界などからの献金原発賛成)を守りたいがために自民党を後押しする国民民主党によって、企業献金の禁止は葬り去られてしまいかねない。しかし、もしそんなことをしたら来年参議院選挙ではまた国民の激しい怒りを買うことになる、それが分かれば、それが伝われば、自民党、石破も踏ん反りかえってはいられない。最近の世界のおぞましい動きには、国民が自分達こそこの国の主権者であることをどこまでも明確に示し続けることによってしか、自分たちの国、自分たちの生活は守れないことがハッキリ示されている。日本国民は違う、それを示せるか。

 政治献金の是非? 実はそんな高尚なテーマでもない。もともとが、後援会を養うために観光バス数台仕立ての旅行を組むなど選挙に莫大な金をかけ、当選したら金と利権で政治を動かし支出分を挽回する自民党政治家が、どん欲にいくらあってもいい金を欲しがっているだけのことである。国家国民のための政治をやりたい、国民につくしたい、そのために政治を志したと言うなら、国民から与えられた政党交付金の範囲で立派にその責務を果たして見せればいいではないか。

スライスサーブ

 テニスレッスンに通って30年、70歳を超え、一つくらいは自分でも満足できるショットを身につけたいものと、猫の額ほどの庭に通販で買ったネットを据えて、スライスサーブの修得に取り組んだ。

 YouTubeに挙げてあるコーチらの動画もほとんどすべてを見て、打てる日に1日30分ほど、あしかけ2年、ようやくそうだったのか、そのコツを捉まえたと思えるようなレベルに到達した気がする。ただ、コーチらの説明ではその一つひとつの動作の力学的な理屈の説明がないせいで、動画を見ているだけではなぜその威力が生まれるのかを理解することができない。

 私のテニスもできてあと数年、折角捉まえたコツを、この記事を目にするテニス愛好家のどなたかに言い遺して少しでも役立つことがあればと考えてブログを再開した。

 ①トスは正面でいい。まだ多くがトスは右と指導するが、トスが安定しないことに加えて、右からのスイングはどうしてもボールを左へ引っ張る、巻き込む動作になりがちで、前への力が弱くなる。スライス面でボールに触れるのはせいぜいガット2,3本でこれでは左回転だけで威力の無いサーブとなる。スライスサーブの肝はスライス面でボールの右側を叩くこと(ラケットは左から右方向、スライス面のまま前へ振り抜くこと(プロネーションは諦めた方がいい。微妙なインパクトが必要なスライスサーブで、トスが一定しないところにプロネーションの過程の理想の1点を当てることなど素人テニスには不可能。)。面を作り正確にボールの1点に当てる、ここに集中するのが精一杯。

 ②スライス面のガット2,3本でボールに力を伝える、その力のメインはラケットの円運動における遠心力である(これが大きな気づきだった)。ラケットを短く持ってインパクトの練習をして気づいた。悉くネットした。ネットを越えない。長くもつと超えた。遠心力の力学は=mrω2乗、mはラケットの重さ、rは円運動の半径、ωは角速度すなわちラケットの運運動の速さである。半径が倍になれば遠心力は2倍、円運動(角速度)が2倍速くなると4倍になる。肘を支点にして大きな円運動、そこで肘が体と一緒に前へ出てしまうのも良くない。これを意識して打つようになってスライスサーブは格段に威力を増した。